家づくりは「共同プロジェクト」|施主と業者の関係性について
リノベーションを終えて振り返ったとき、
私の中で一番大きな学びとして残っているのは、
「リノベ会社選びで本当に大切なのは、正解の会社を探すことではなく、
一緒にプロジェクトを進められる関係性を築けるかどうかだった」
ということです。
家づくりは、
お金を払って「完成品」を受け取る買い物ではありません。
何度も話し合い、迷い、軌道修正しながら、
施主と業者が一緒に形をつくっていく“共同作業”です。
10年以上住んだからこそ、わかったこと

私は中古マンションを購入してから、
古い設備のまま10年以上住み続けていました。
すぐにリノベーションをしなかった理由は、
当時はそこまで切実な不満を言語化できていなかったからです。
ただ、暮らしの中で少しずつ、
- 朝の動線が詰まる
- 収納の位置が微妙に合わない
- ここに棚があれば楽なのに
- 家事をするとき、必ず同じところで立ち止まる
そんな「小さなストレス」が積み重なっていきました。
DIYで工夫してみることもありました。
スチールラックを置いたり、棚を追加したり。
でも、
間取りそのものを変えない限り解決できないことも、
はっきり見えてきたのです。
情報収集の中で、いちばん腑に落ちた考え方

リノベーションを意識し始めてから、
私は多くの事例や本を読みました。
施工事例集
リノベ会社のコンセプトブック
間取りのアイデア本
どれも参考になりましたが、
「考え方」という点で一番役立ったのが、
ちきりんさんの書籍でした。
そこに書かれていたのは、
- 施主は「お客様」ではあるけれど、丸投げしてはいけない
- 家づくりは業者に依存すると、必ずどこかで歪みが出る
- お互いがプロとして尊重し合う関係が理想
という、とてもシンプルで本質的な話です。
この「共同プロジェクト」という考え方を
リノベ会社選びの前に知っていたことは、
後から振り返っても、本当に大きかったと感じています。
「全部任せる」ことが、必ずしも楽ではない理由

リノベーションを考え始めた当初、
「プロに任せたほうが安心なのでは?」
と感じる気持ちも、もちろんありました。
でも、
- 何が好きで
- 何が嫌で
- どこにストレスを感じているのか
それを一番知っているのは、
他でもない自分自身です。
施主が考えることを放棄してしまうと、
- なんとなく違う
- 想像と少しズレている
- でも言語化できない
という「後悔の芽」が、静かに残ってしまう。
だから私は、
「全部お任せ」はしないと最初から決めていました。
希望は伝える。でも、コントロールはしない

一方で、
自分の希望を細かく指示しすぎることが
正解だとも思っていませんでした。
例えば設備選び。
キッチンについて私は、
- メーカーは特に指定しない
- ただし、ステンレス天板は水垢が気になるので避けたい
という「理由付きの条件」だけを伝えました。
するとC社は、
- 自社で扱い慣れている
- メンテナンス性が高い
- 実績のあるメーカー
を前提に、
人工大理石+コーティング仕様のキッチンを提案してくれました。
ショールームに行くと、見学予約者の名前が並んでいました。
「〇〇時〜C社:〇〇様」という表記があり、
C社の施主さんの名前が並んでいました。だから、実績もあり安心しました。
業者とメーカーがしっかり信頼関係を築いていることも伝わってきました。
施主が無理に主導権を握らなくても、
信頼できる提案が返ってくる。
それは、
お互いを尊重している関係だからこそだと思います。
「正しさ」より「関係性」を選んだ場面
ファミリークローゼットでは、
柄物の壁紙を提案されました。
本音を言えば、
- 破れたときの補修
- 経年変化
を考えると、
シンプルな白のほうが合理的だったと思います。
でもそのとき私は、
- 空間に一つ“遊び”を入れたい
- プロとして何か形にしたい
という気持ちも感じ取りました。
最終的には、
「ここはプロの提案を信じてみよう」
と、そのままお願いしました。
この判断ができたのも、
共同プロジェクトとして向き合っていたからだと思います。
「お金を払っているから」という考え方の落とし穴
もし、
お金を払っているのだから、
思い通りにしてもらって当然
というスタンスで向き合っていたら、
小さな違和感は不満になり、
やがてクレームに変わっていたかもしれません。
そうなると、
- 施工側のモチベーションは下がる
- 本音の提案は出てこなくなる
- 結果として、空間の質も下がる
という悪循環が起きてしまいます。
家づくりは、
感情のやり取りも含めたプロジェクトだと、
私は身をもって感じました。
仕事をしてもらったから、私もできることをする
完成後、
C社からオープンハウスの相談がありました。
私はこれを承諾し、
2日間、多くの方に自宅を見ていただきました。
その結果、
同じマンション内で
2件もリノベーションが決まったと後から聞きました。
これは偶然かもしれません。
でも、
- 仕事をしてもらった
- だから私も、できる形で協力する
この関係性が生まれたこと自体が、
とても心地よい経験でした。
家づくりは「一緒につくる」もの

リノベーションは、
商品を買う行為ではありません。
施主と業者が、
- 対話し
- 考え
- 時に譲り合い
- 時に立ち止まり
ながら進める、共同プロジェクトです。
この前提を理解しているかどうかで、
リノベーションの満足度は大きく変わります。
そしてこの考え方は、
会社選びの「基準」にもなります。
共同プロジェクトという視点をくれた一冊
私がこの考え方を身につけるうえで、
大きなヒントになったのが、
ちきりんさんの書籍でした。
- 業者に任せきりにならない
- でも、対立もしない
- 自分の頭で考える施主になる
リノベ会社を探し始める前に、
ぜひ一度読んでほしい一冊です。
